文化庁のワーキングチームが公表した「パロディ」についての報告書がよくまとまってて素敵。

文化庁のワーキングチームが公表した「パロディ」についての報告書がよくまとまってて素敵。

Photo by Horia Varlan (Creative Commons BY 2.0)

文化庁のサイトで、「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会パロディワーキングチーム」という、やたら長い名前のワーキングチームの報告書が公開されていたので読みました。内容は「パロディ」についてで、二次創作の盛んな日本とは関連が深い内容となっています。

パロディワーキングチーム報告書(35ページ / 384KB / PDFファイル)

報告書では、まず「1章 パロディとは何か」において辞書や他国の法制度の参照、文化的解釈から「パロディ」の定義を試みています。その上で、日本においては法律の規定、裁判例を鑑みてもパロディの明確な定義は存在していないため、それを広く捉え検討することとしています。

次の「第2章 諸外国における著作物としてのパロディ」では、参考例としてアメリカ・イギリス・ドイツ・フランスの四カ国におけるパロディの取り扱いの実態を報告しており、「パロディ保護の法的根拠」、「関連する裁判例」、「許容されるパロディ」を挙げています。ここが非常に面白くて、一言に「パロディ」と言っても各国まったく違った範囲を指しているんだということがよくわかりました。

「第3章 我が国における著作物としてのパロディの取り扱い」では、まず関連する事件の裁判例をいくつか挙げた上で、パロディを著作権法上どう取り扱うべきか、学説におけるパロディ許容慎重派・肯定派それぞれの見解を紹介しています。さらに、日本国内におけるパロディの実態について関連団体にヒアリングを行い、ジャンル毎にその取り扱い、権利処理の実情をまとめています。

最後に「第4章 我が国におけるパロディの法的在り方について」において日本における現状の評価、法制化する場合のメリット・デメリットを列挙した上で、ワーキングチームとしての意見を下記のようにまとめ報告を締めています。

以上を総合的に勘案すると、本ワーキングチームとしては、デジタル・ネットワーク社会において著作物の利用形態が急速に変化している中で、著作物としてのパロディの在り方や、その権利意識について権利者・利用者ともに急速な変動が見られることも併せ考慮すると、少なくとも現時点では、立法による課題の解決よりも、既存の権利制限規定の拡張解釈ないし類推適用や、著作権者による明示の許諾がなくても著作物の利用の実態からみて一定の合理的な範囲で黙示の許諾を広く認めるなど、現行著作権法による解釈ないし運用により、より弾力的で柔軟な対応を図る方策を促進することが求められているものと評価することができる。

「パロディ」は出版や音楽、広告、インターネットなど、非常に幅広い分野に関わりがあります。これらの分野に関わる方はぜひ時間を取って、報告書全体を読んでみてください。本1冊読むと思えば楽なもんですので。


このブログに掲載されている写真は2013/05/24以降はRICOH GR、それ以前はRICOH GR DIGITAL IIIで撮影されています。


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